はじめに

 

前回のブログ記事「Customer Experience 3.0から学ぶ、顧客体験CXを向上する基礎知識」では、ジョン・グッドマン氏の『顧客体験の教科書』をベースに、Customer Experience 3.0とは何か、そして、どのように顧客体験を実装していくべきか、鍵となる4つの取組みと、CX強化に向けた継続的改善の4つの要素をご紹介いたしました。

 

今回は、テクノロジー観点でどのようなポイントに気にしながら顧客体験 CXを実装していくべきかを、再度ジョン・グッドマン氏の『顧客体験の教科書』とダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー誌2021年9月号の論文『流行りの マーケティングテクノロジーに飛び付くな』などを参考にしながら、ポイントをご紹介していきます。

 

以下のような方におすすめの記事です。

 

  • B2C、B2B向けのデジタルサービスの事業企画をされている方
  • デジタルマーケティング領域の取り組みとして、顧客体験の向上をミッションとしてお持ちの方
  • デジタルサービスの新規開発を検討されている方

 

理想的なCXと整合性の取れたテクノロジーを導入する

 

テクノロジーを活用する前に、なぜテクノロジーを導入するのか、その理由のためにどのようなアプローチが考えられるかなどトップダウン志向で進める必要があることはどのような施策を実施する上でもしっかりと考慮に入れておきたいポイントだと思います。

 

よく言われることとして、Howからはじめるのではなく、Whyからはじめる、ということがあるかと思いますが、『顧客体験の教科書』では、テクノロジーを実装していく最初のステップをまずは理想的なCXと整合性の取れたテクノロジー導入を検討することが述べられています。

 

“テクノロジーはその運用や操作方法がまずければ、解決の手段になるどころか、それ自体が大きな問題を持ち込むきっかけとなってしまう。”ーp299 『顧客体験の教科書』

 

CXプロセスマップを作成する

 

前回のブログ記事で「CX強化に向けた継続的改善の4つの要素」を紹介しました。CXプロセスマップはこの要素をベースとして、いわゆるカスタマージャーニーマップを作成することが、テクノロジー導入の一歩とされています。

 

顧客が特定のサービスについて認知してから、購入し、サポートを得られるまでの一連のカスタマージャーニーの現状を一度洗い出すことで、現状の課題ポイントを見える化し、どこから手を打つべきかの具体的な検討が進められます。

 

プロセス改善のポイントとしては、以下があげられます。

 

  1. 顧客や従業員のフラストレーション
  2. 満たされていない事前期待
  3. エラー
  4. 遅延
  5. 余計な手間

 

上記の項目の具体的な原因をつきとめることで、顧客体験をスムーズにする糸口が見つけられます。

 

昨今のオンラインとオフラインをミックスしたアプローチを重視する傾向(OMO※参考:ブログ記事)においては、オンラインだけでのカスタマージャーニーを企画するのではなく、オフライン あるいは リアルの場での接点も含めて顧客がどのような体験をしているかをしっかりと把握し、設計、改善することが必要でしょう。

 

 

カスタマージャーニーマップについては、様々な書籍がありますので、そちらを参考にしながら進めるのが良いかと思います。また簡単なものですが、カスタマージャーニーマップの例を以下に2つほどあげたいと思います。

 

カスタマージャーニーマップの例

 

 

カスタマージャーニーキャンバス

『THIS IS SERVICE DESIGN THINKING』の著者であるMarc StickdornとJakob Schneiderによる(ソース

 

 

カスタマージャーニーにテクノロジーを落とし込む

 

上記のCXプロセスマップあるいはカスタマージャーニーマップが作成できたら、現在どのプロセスで何のテクノロジーが使われているかが明らかになり、手作業などで行っているプロセスについては何らかの障害が生じていることが分かってくるかと思います。

 

『流行りのマーケティングテクノロジーに飛び付くな』というハーバード・ビジネス・レビューの論文では、その論文のタイトルの通りテクノロジーから手を付けるなという警鐘を鳴らしていますが、この論文では少しマーケティングテクノロジー(MarTech)領域に特化しているような内容ですが、どのようにカスタマージャーニーマップからテクノロジー戦略におとしていくかわかりやすい図がありましたので、以下に参考に作成した図をご紹介します。実際にはこれらのシステムが連携しますので、ジャーニーマップに落とした後はシステムのイメージ概念図を書いてみると抜け漏れ、ダブリがなく検討ができるかと思います。

 

マーテック導入の「3D」フレームワーク

 

顧客体験を改善するベストプラクティス

 

再度『顧客体験の教科書』に戻ってみると、新しいテクノロジーにより顧客体験の改善に成功しているベストプラクティスがいくつか挙げられていますが、特筆すべき点として顧客IDを統一的に使うべきことが述べられています。

 

◆すべて同じ場所で同じ顧客IDの使用を義務づける

顧客IDは様々な情報と連携することが重要です。ポイントとしては以下のような内容になります。

  • 顧客IDが連携の鍵となり、すべてのデータベースを通して同じ顧客IDが一貫して使われている必要性
  • 世帯ごとに個別のアカウントが紐付けられている
  • すべての業務上の取引処理と紐づく

上記のようなことを注意して整備することで、データ分析基盤として成功に近づく、と説明されています。

このような指摘を考えてみると、顧客IDをバラバラに持ってしまうと、顧客についての理解が深まらない、また、アフターサービスでの円滑なサポート提供ができないなど、顧客体験の不具合につながることが思い浮かぶかと思います。

 

CRMシステムがCXマネジメントのハブとなる

先述したとおり、CXプロセスやカスタマージャーニーマップを考えながら、テクノロジーの導入が必要となりますが、顧客体験を向上するためのテクノロジーはある程度領域が絞られているかと思います。『顧客体験の教科書』では、CRMシステムからメール・チャット、ウェブサイト、通話・テキスト認識分析、自動応答システム、動画、ナレッジマネジメント・システムなど、当たり前のシステムも含めて落とし穴や考慮すべきポイントが紹介されています。すべてをこの記事でカバーするのは難しいので一部重要な要素となる項目についてまとめていきたいと思います。

 

◆CRMシステム

御存知の通り、CRMはCustomer Relationship Managementの略ですが、以下の4つのアクションを実行できるようになっていることが求められると本書では述べられています。

 

  1. 顧客とのやり取りすべてのプロセスと顧客への回答内容を管理し、ガイドになる
  2. 顧客ニーズを予測してアクションを起こす(顧客ライフサイクルのステージ毎の情、顧客の嗜好、取引データ、ソーシャルメディアなどの外部情報が含まれる)
  3. すべての顧客接点から自動的に集約した情報を使って、顧客への回答、エモーショナルコネクション、顧客への情報提供や教育ができる
  4. 顧客への回答と能動的なコミュニケーションを取る目的でナレッジマネジメント・システムや業務データから情報を取得できる

 

上記にあるように、顧客のライフサイクル全般をCRMシステムを中心に(まさにハブ)として活用できるように設計することが非常に重要であると言えるかと思います。外部連携がしやすいシステムを導入することも重要な要素でしょう。

 

ナレッジマネジメント・システム(KMS)

アフターサービスに特化しているようにも思えますが、複数のチャンネルを活用してサービスを行っている場合、顧客への適切な情報提供のためにはKMSは欠かせないツールであると本書では述べられています。

 

KMSで顧客が必要とするナレッジを蓄積することで、そのデータベースをウェブサイトを通じて利用可能にし、同時にデータベース自体を顧客用と社内に仕切るなどのことをすることで顧客は情報が手に入るようになり、サービス担当者の業務量の削減にもつながります。

 

ナレッジマネジメントにおける大きな落とし穴は、情報をしっかりメンテナンスしないことで、多くの方がこういった課題に直面しているかと思います。結局は現場の担当者の方のインプットがなければ、定期的な更新がないため、ハーレー・ダビッドソンでは、最も多くの情報をKMSに貢献したメンバーを表彰したりしている。

 

上記以外にも様々な要素の導入におけるポイントや落とし穴について『顧客体験の教科書』では記載されていますので、ぜひ気になる方はご一読いただくと良いかと思います。

 

テクノロジー実装領域

おわりに 

 

今回のブログ記事では、顧客体験を向上するためのテクノロジー導入に関する内容を、『顧客体験の教科書』をベースに紐解いてきました。触れられなかったポイントも多くあるかと思いますが、顧客体験と言っている限り、顧客が持つデータを以下に一貫性をもって管理するかは非常に重要な要素となっているかと思います。

 

また、「新しい技術で面白そう」などの発想で進めるのではなく、しっかりと全体のカスタマージャーニーを意識した上で、どの領域に、何のテクノロジーを導入していくかを考えていく必要があることが改めて理解できたかと思います。

 

このような取り組みは一気に推進することも難しいかと思いますが、まずは全体像を可視化することで、その糸口が見えてくるかと思います。

 

 


 

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