2020年の最終営業日とも言える12月28日に『DXレポート2(中間取りまとめ)』が経済産業省より発表されました。すでに読まれた方もいらっしゃるかと思いますが、デジタルトランスフォーメーションを進める上で企業が直面する課題と解決策を整理したレポートで、「2025年の崖」で知られている、2018年9月に発表された「DXレポート」第1段の続編として中間取りまとめとして発表されました。これからDXに取り組むという企業や、すでに取り組まれている企業でも新たな気づきがあると思います。

 

今回のレポートでは、関連資料3件、デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 ワーキンググループ1 報告書が4件と割とボリュームのある内容でした。今回のブログ記事ではデジタルトランスフォーメーションの状況が二極化している点と、Proof of Concept(PoC)の正しい運用の重要性についてピックアップしてご紹介致します。

 

(1)DXの取り組み状況は二極化しつつある

DXレポート発行から2年が経過したが、本レポートでは、”「DXの取り組みを始めている企業」と「まだ何も取り組め ていない企業」に二極化しつつある”と説明されています。

 

DXレポート2(本文)の以下の図にある通り、未着手〜一部部門での取り組みという企業が95%も存在する状況で、本格的・持続的に実施している企業は5%程度であり、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、デジタル化が急速に進んだと言われていても、まだまだ日本国内でのDX推進は道半ばである、という状況と理解できるかと思います。

 

 

DX推進指標自己診断結果は二極化

 

このような状況のなか、企業がデジタル企業へ変革するために、「製品・サービスの導入による事業継続・DX のファーストステップ」としてDXレポート2であげられているのは以下の4点です。特に顧客接点のデジタル化に関しては、JEITAの「日米企業の DX に関する調査結果」においても米国と比較しても弱い部分だとわかっています。2021年度以降はこのあたりへの取り組みが強化される必要があると言えるでしょう。

<製品・サービスの導入による事業継続・DX のファーストステップ>

  1. 業務環境のオンライン化
  2. 業務プロセスのデジタル化
  3. 従業員の安全・健康管理のデジタル化
  4. 顧客接点のデジタル化

 

※TC3では「顧客接点のデジタル化」を支援するサービス、『デジタル顧客接点トータルサービス』を3月25日に発表いたしました

 

DX推進における「対話に向けたポイント集」

このようにDXを全社的に進められていない企業の課題を、経営層やミドルマネジメントがWhy・What・Howを明確にした対話ができていないことを課題と捉え、あらゆる企業がデジタルエンタープライズに進化するための「対話に向けた検討ポイント集」が今回のDXレポート2とあわせてワーキンググループの成果として公開されています。

 

「対話に向けたポイント集」では、第1章 デジタルトランスフォーメーションとは第2章 デジタルエンタープライズとデータ活用第3章 デジタルエンタープライズにむけたITシステム企画、の3章立てとなっており、デジタルトランスフォーメーションを推進する上での、Why・What・Howについて思考を深めるためのツールとして活用が可能です。企業のDXの進捗状況や、具体化すべき領域にあわせて活用すると、どのようなアクションが必要かを具体化する手助けになるかと思います。

DXレポート2では、DXを進める上でのWhy/What/Howに応じての「対話に向けた検討ポイント集」がまとめられた

各章で紹介されている内容をいかにご紹介いたします。

第1章「デジタルトランスフォーメーションとは」:
DXの必要性やDX後の姿を解像度を上げることを目標としています。なぜDXを実施する必要があるのか、を歴史を紐解きながら理解することが可能です。DXをやろうと決めたばかりの企業の方はこちらから読みはじめるのが良いでしょう。

 

第2章「デジタルエンタープライズとデータ活用」:
データ活用の目的やプロセスについて解像度をあげていくことを目的としています。データドリブン経営などという言葉があるように、データをビジネスに貢献させるための活用イメージや活用するためのプロセスを理解することができます。自社のデータを活かして事業改善を行っていこうと考えられている企業の方に有益なポイントがたくさん含まれています。

 

第3章「デジタルエンタープライズに向けたITシステム企画」:
システムとして実装していくための考え方が紹介されています。キーワードとして、マイクロサービス、クラウド、インターフェイスの強化、既存システムのモダナイゼーション、セキュリティなど多岐に渡りますが、システム実装における勘所が理解できます。

 

 

(2)Proof of Conceptの正しい運用の重要性

第2章 デジタルエンタープライズとデータ活用 では、データドリブン(データ主導)であることが、デジタルトランスフォーメーションに取り組む上での重要なテーマのひとつとして取り上げられています。ここでは、そのデータを基に、PoC(Proof of Concept)を適切に運用することの重要性が示されています。

 

以下のスライドでは、リーンスタートアップでも提唱されているBuild(構築)ー Measure(計測)ー Learn(学習)のフィードバック・ループと同じように、開発・試行・検証というプロセスを回すなかで得られるデータを判断材料として、PoCでユーザーにとって価値のあるものかどうかを検証し改善し続けることの重要性が説明されています。

※PoC/MVP開発についてのTC3の独自の手法であるGigAgileについては、事例を交えてこちらのブログ記事でご紹介しています。ぜひこちらも合わせてご一読ください。

データ主導型のビジネスにはPoCの運用が重要

 

共創の体制が重要

また、DXレポート2(本文)では、上記の図のように要求と開発、評価と改善のサイクルを回すためには、従来型のユーザー企業へITベンダーが受託システム開発の方式でシステムを納品するという関係性から、ユーザー企業のDX部門と共同体となって、アジャイルにモノを作っていくという関係性を築くことが謳われています。以下に該当の文章も引用します。

 

ベンダー企業はこうした事業機会を顧客企業への客先常駐ビジネスとするのではなく、対等なパートナーシップを体現できる拠点において、ユーザー企業とアジャイルの考え方を共有しながらチームの能力を育て(共育)、内製開発を協力して実践する(共創)べきである。同時に、こうしたパートナーシップを維持することで、ユーザー企業の事業を深く理解し、新たなビジネスモデルをともに検討するビジネスパートナーへと関係を深化させていくべきである

 

アジャイル開発は受託から共創へ

 

おわりに

今回は2020年の年末にリリースされた、DXレポート2(中間とりまとめ)について、TC3の目線でポイントをピックアップいたしました。

 

このレポートを読み、

1)まだDXを本格的に進められている企業とそうではない企業の二極化が起こっているというマクロな状況と、

2)テクノロジーを活用することによる業務効率化のみならず、データ主導で新規事業立ち上げをするというDXを推進するためには、組織的な課題やその組織が持つプロセスの課題が多くある


と感じました。

 

これら以外にもお客様の状況に応じて様々なポイントが参考になるかと思いますので、一度目を通してみてはいかがでしょうか。

 

また、IT人材の不足については本レポートでは主題ではありませんが、慢性的にIT人材が不足した状態となっていることに対してクラウドソーシングを1つの選択肢とされる企業も出てきています。TC3としてもDXを中心とした課題にお客様に寄り添い、共創型でご支援をアップグレードしながらご提供し続けたいと思います。

 

最後になりますが、TC3では、上記のようなProof of Concept(PoC)やMVP開発(実用最小限のプロダクト)をお客様とチーム一丸となりスピーディにテストマーケティング可能なアイデアの妥当性からプロトタイプ開発を支援する「DXキックオフパッケージ」を提供しています。ご興味ある方は以下のフォームからご紹介資料をダウンロードいただけます。

 

プロトタイプからはじめるデジタルトランスフォーメーション

DXキックオフパッケージ